桜と琥珀(とその他大勢)のLycee講座 第一回
前作「いぬの妄想日記」は、いぬとか言う人がいなくなってさくらさんに変わったので、アレで最終回です!<なんと
てなわけで新しく始めるのは「Lycee講座」!
TCG「Lycee(リセ)」の色んなプレイングやテクニック、カードについてなどを、桜と琥珀さんの対戦をその他大勢のサーヴァント達による解説付きでお送りするこの意味わからんノリと勢いだけのコーナー!
第一回は、普通の対戦の中で役に立つ、初心者向けの講座です。
カードのテキスト等はいちいち説明してらんないので、わからなかったら公式のリスト等で確認してくださいねwww
それでは適当にどうぞ!
「琥珀さん、暇ですしリセで対戦しませんか?」
「あらあら。いいわよ、桜ちゃん。フルボッコにしてさしあげます♪」
「それじゃ、デュエルルームに行きましょう」
「む。コハクとサクラが例の競技をするようですね。ちょうど昼ご飯を食べ終わってゆっくり過ごしたかった所です。せっかくですから、少し観戦させて戴くとしましょう」
「私も行きましょう、セイバー。サクラの勇姿を見届けなくては」
「今回はアーチャーやランサーはいないようですね。まあ、普通なら彼らがここにいるコト自体がおかしいのですが。……むむ、しかしそうなると、解説役がいなくなりますね」
「その点ならば心配はないでしょう。今回は初心者講座とのコトでしたから、その程度ならこの私でも解説出来ると思いますし」
「そうですか、それは心強い。何せわたしのような素人ともなると、何が起こっているのか把握しきれませんから」
桜と琥珀、その後ろについていくように二人のサーヴァント、セイバーとライダーがデュエルルームへと移動した。
「それでは、お互いにデッキをシャッフルしましょう」
「うふふー。イカサマは許しませんよー?」
「しっ、しませんよっ! もう、琥珀さんってば……はい、わたしのデッキをカットして下さい。これでいいでしょう?」
「あう、冗談ですよー。……ハイ、できましたー」
「互いのデッキをシャッフルし合う―――これがカードゲームに置ける礼儀の基本、といった所ですか」
「ええ。何の疑念もなく試合を進めるためにも、例えフリー対戦と言えど、出来る限りこの礼儀は抑えておきたいですね。試合の途中に行われる効果等でのシャッフル時にも同様のコトが言えるでしょう」
「なるほど、どことなく武士の精神と通じるものがある。良い心がけです」
「それでは、デッキの上からカードを7枚引きます」
「最初の手札ですねー」
「初期手札は、お互いにゲームを始める前に引きます。この時、先攻後攻を決定する前に手札を見ても構わない―――というのがリセにおける気をつけておくべき点ですね」
「手札を確認してから先攻後攻を決めるわけですね?」
「基本的に先攻後攻の選択権を得たプレイヤーは、自分の手札を確認し、その内容に合わせて先攻後攻の選択をするのです」
「なるほど。しかし、それでは些か選択権を得たプレイヤーに有利ではないですか?」
「それが少しネックな部分でもあるのでしょうね」
「ふむ……」
「それじゃ、わたしの先攻で。カードを1枚ドローします」
「サクラが先手を取ったようですね」
【桜のデッキ】
花単(花属性オンリー単色デッキ)
【桜の初手(先攻1ドロー含む)】
姫百合瑠璃(敵意)×2
マルチ
間桐桜(母性本能)
姫史愛生(天衣無縫)
ナミ
ウミ
織永成瀬
「姫百合瑠璃を2枚捨て、手札からナミを右AFに出します」
「オッケーですよー」
「む、同じカードを2枚捨てましたね。これは最初に行う行動としてどうなのです?」
「まあ、恐らく観ていれば解るでしょう」
「ではナミの効果で、手札からウミを中央AFに出しますね」
「はーい」
「次にマルチを捨て、姫史愛生(天衣無縫)を左AFに出します」
「どうぞー」
「これでエンドです」
「……ふむ」
「サクラが一気に攻めていますね。初手からこのような動きをすると、後が怖いのではないですか?」
「そうでもないでしょう。実質、それぞれが手札2枚で出ているコトになります。普通、手札2枚程度で場に出たカードを有利に対処は出来ませんから」
「ふむ。あの同じカードを2枚捨てたのは、初めからこうやって展開する事を決めていたからですね」
「その通りです。初手からの動きというのは重要ですから、あらかじめ最後までどうやって配置するかを考えてコストを切る必要があるわけですね。あの姫百合瑠璃(敵意)というカードは、AF3つにしか出せませんから、今は手札にあっても無駄だと踏んだのでしょう」
「なるほど」
「さらに、これでも最低限の展開のはず。アタッカーだけを並べることで、まずは相手の出方を覗っているようですね。手札に間桐桜(母性本能)を残しているのはその為でしょうし、中央にタッチを持つキャラクターを置いたのも、いつでも間桐桜を配置し、タッチを行えるようにしたという意味もあるはずです」
「思考が深いですね……本当にこれで初心者講座なのですか」
「この程度は基本ですよ、セイバー」
「わたしのターンですねー。2ドロー!」
「ん? 後攻の場合は2枚引けるわけですか。先手の場合は1枚、ということはすでにこの時点でカード1枚の差がありますね」
「ええ。しかし勘違いしてはいけませんよ、セイバー。このゲームにおいて『先に場を展開する』という事はとても重要なコトです。たとえ1枚の差が生まれようとも、相手より先に動けるコトはそれを凌駕するほどのアドバンテージを生むのですよ」
「攻撃こそが最強の防御、とは言いますが―――カードゲームにしても、それは似たような言葉で言い表せるようだ」
「結局、勝負に勝つには先に相手のデッキをなくす必要があるわけですからね。先に攻撃を行う権利がある先攻が有利だという事は、基本的に変わらないでしょう」
「むむ。さてどうしましょうかー」
【琥珀のデッキ】
日単
【琥珀の初手(後攻2ドロー含む)】
レイチェル・ハーベスト×2
神尾観鈴(夏やすみ)×2
雪月小夜里
柊杏璃(魔法服)
麻弓=タイム(好奇心)
時雨亜沙(魔力放出)
メカヒスイ
「よーし。それではまず、レイチェル・ハーベストとメカヒスイちゃんを捨てて、レイチェル・ハーベストを左AFに出しますねー」
「はい」
「さらに、雪月小夜里を捨て、神尾観鈴(夏やすみ)を左DFに出します。何かありますかー?」
「う、何もないです。どうぞ」
「行動をするたびに確認をし合っていますが、これは?」
「リセでは、相手の行動に対応して、自分が何かを行うという事が可能なのですよ。いわゆる妨害行動ですね。特にあの神尾観鈴(夏やすみ)というカードは妨害の対象となりやすい強力カードなので、あえてコハクは対応宣言があるかどうかを確認したのでしょう」
「相手の対応行動があるかどうかも予測し、動かなければならないわけですか。読み合いが熱そうですね」
「では、神尾観鈴(夏やすみ)の効果で3枚ドローしますねー」
【引いたカード】
時雨亜沙(料理部部長)
シャドウムーン
高羽沙枝
「さらに、レイチェル・ハーベストの能力【看板娘】で、カードを1枚引きます」
「これはリセにおける代表的な基本コンボですね。後攻にレイチェル・ハーベストと神尾観鈴(夏やすみ)を出すと、ちょうど手札が7枚になり、レイチェル・ハーベストの能力【看板娘】により、カードを1枚引く事ができるのです」
「これで、コハクは2枚もの手札差をつけたわけですね」
「正確には、後攻ですので3枚ですが。しかし、ここで雪月小夜里からのスタートを選ばないとは、彼女もなかなか考えていますね」
「どういう事です?」
「雪月小夜里を一番初めに出してから上記の二体を出すと、同じく手札が7枚になり、レイチェル・ハーベストでの能力を使えるのですよ」
「ならば、そうするべきなのでは?」
「コハクは敢えてその選択肢を捨てたのですよ、セイバー。相手の属性は花。まだ序盤ですからなんとも言えないようですが、相手の場を見れば相手のデッキがどのようなデッキかは予測が付く。花単デッキというのは、基本的に場を固めてキャラクターで戦うデッキですから、雪月小夜里のように、キャラクターを出すと1枚ドローできる―――というような、相手にも得をさせてしまうカードは有効ではないと踏んだのでしょう」
「相手の戦略を読み、それに対応した最善の行動をした……という事ですか。なるほど、さすがはコハクですね」
「手札から柊杏璃(魔法服)と高羽沙枝を捨てて、右AFに麻弓=タイム(好奇心)を出しますよー」
「何もないです。手札を見せますね」
「はーい。……ふむふむ、なるほどなるほどー。了解です。じゃあ、麻弓=タイムを中央DFにジャンプさせ、これでエンドですねー」
「む。あのシャドウムーン、というのは、コンバージョン:レイチェル・ハーベストと書かれていますが」
「ええ。コンバージョンをすることもできますが―――よく観て御覧なさい、セイバー。コハクの手札は何枚ですか」
「5枚……ですね。それがどうしたのですか?」
「解りませんか。このままターンを返し、次のターンが回ってきたとき、コハクの手札は7枚になるのですよ?」
「7枚……そうか、レイチェル・ハーベストの能力ですね?」
「ええ、そうです。まだ試合は始まったばかり、序盤は手札の枚数がモノをいいます。コハクは敢えてコンバージョンをせず、そのままにしておいたのですよ。次のターン、もう一度【看板娘】を行うために」
「なるほど」
「さらにこの場の構築も上手いですね。神尾観鈴にサポートを二体あわせる事で、簡単には倒されないようにしている。相手の手札は、麻弓=タイムで確認しているので把握済み。間桐桜(母性本能)と織永成瀬ですね。次のターンにサクラがカードを2枚引いても、この両方は出せません。他に何かを引くかもしれませんが、それも運ですから、この場ではこれが最善の選択だったと言えるでしょう」
「初手からの展開のみでこれほどの読み合いが生まれるとは。やはり奥が深いのですね、このカードゲームは。とても初心者の思考だとは思えない」
「一応言っておきますが、あの二人は初心者ではありませんよ。今回の講座が初心者向けの内容となっているだけですから」
桜、琥珀ともに第一ターン終了―――
次回、第二ターンから始まる攻防をお楽しみに!
ここで終わるのか、という突っ込みはなしでwww