とある魔術の禁書目録外伝 第一章/麻咲美弥の事情

 いつも通りの学生生活を終え、麻咲美弥は帰路に着いていた。
 クラスメイトの大半は寮へと帰ってしまうため、この時間はいつも一人でいる事が多い。と、言うかほとんどである。
 校舎を後にすると、そのままバス停まで徒歩で向かう。距離はそこまでないが、さすがに学業の後となると話は別で、脚にも疲れは溜まっているのでいちいち歩くたびに脚がガクガクするのが鬱陶しい。
 彼女―――麻咲美弥は、他の生徒とは少し違う。
 この『未来予知』と言う能力を手に入れた工程で、彼女は少し人体に悪影響を貰ってしまっていた。
 それが、『一日の半分以上活動すると無条件で倒れる』と言うものだった。
 寮は普通、複数のルームメイトと同居生活を送る事になる。だが、彼女の場合は他人とは違う部分があるため、彼女自身が他人に合わせる事が出来ない。
 そのため、麻咲は寮生活ではなく、バスで少し向かった場所にあるアパートを借りて一人で生活していた。
 一人で生活する事は特に難しい事ではない。ようは一日の半分以上活動しなければ他人とまったく変わりはしないのだから。
 現在は夕方になる少し前、午後四時半と言ったところである。彼女が起床したのは朝の七時前なので、大体は午後七時までに眠りに付けば問題はない。
 その縛りによって、彼女自身の自由な時間が失われている事は言うまでもないが―――彼女は、それでも今を楽しんでいた。
 バス停にたどり着くと、そろそろやってくるであろうバスを静かに座りながら待っていた。アパートが数多く並ぶ住宅街へのバスなため、行きのバスとは違って色んな人が乗車することになる。
 そのためか、辺りには見知らぬ学生やその他人達が大勢いた。
「とうま、とうま。今日の晩御飯はお肉がいいかも。さっきそこのお店で『とくばい』とか言うのをやってたのを見たよ!」
「肉ってちょっとインデックスさん、俺みたいな貧乏学生にそんな高級食材を求めたところでハイどうぞなんて出てくるとでも思ってやがりますか!?」
 ふと声のする方へ目をやると、そこには二人の男女が何やら言い争うように会話をしているのが見えた。
 一人、男性のほうはツンツンした黒髪で服装はTシャツにジーンズと実に質素な感じである。だが、もう一方―――少女の方はこれまた珍しい格好だった。どこかのシスターさんだろうか? 純白の布地に金の刺繍なんて派手な修道服のようなものを着ている。なんで学園都市にシスターがいるんだろう、と思って、まぁこれが最近のコスプレですかー、もしそうならあの男性は凄く酷い趣味をされてるんですねぇ……と、都合の良いのか悪いのか解らない方に解釈してしまう麻咲であった。
(そう言えば、私の部屋の冷蔵庫に期限が今日までの牛肉がたくさんあったような……)
 麻咲はふと考える。
 そう言えば、確かにあった気がする。特売セールで安かったので買ったのはいいものの、あまりに大量過ぎて一人で食い切れなかったものが、しかも期限が今日までで結構残っていたはずだった。
「あ、あのー」麻咲はためらいも遠慮もなく目の前で口論している男女に向かって、「もしよければ、ウチにいらっしゃいませんか? ちょうど、そろそろ食べ切らないといけないお肉がたくさんあるんです……ってうわぁ!?」
 ズババッ! と、白い修道服を着た少女が目を輝かせて麻咲の元へと一気に駆け寄って来た。肉、という言葉に反応したんだろう、口からは少しよだれが垂れているのが解る。
「そのお話は本当!? ねえ、とうま。この人がお肉をご馳走してくれるって言ってる!」
「……とう、ま?」
 その名前に、麻咲は少し何か引っ掛かりを覚えていた。
 とうま―――どこかで聞いた事のある名前なんだけどなあ、と麻咲はうーんと唸りつつ、
「オイオイ、インデックスさん? 貴女様は見も知らぬ人にご馳走になれるほど節操がないのでせう?」
「むー。とうま、それは誤解だよ。だって見知らない事はないもん。この人、前に一度見かけたしね。お肉屋さんで」
「肉屋で見かけたって、お前いつからそんな肉屋に出入りするようになってんだよっ!? 言っとくが俺にそんなモンをポンポン買う金はねーからな!」
 二人が麻咲をよそにまた口論を開始したのを見て、麻咲はとりあえず考える事をやめて、
「あ、あのー。ご迷惑だったならいいんですけど……。その、お肉捨てる事になるのももったいないですし、食べていかれなくても、もし良ければ貰って戴ければなー、とか……」
 くるり、と二人の首が麻咲のほうへ同時に向いた。
 それに麻咲は少し驚きつつ、まずは白い修道服を着た少女が手を差し出して、麻咲の手をそのまま両手で握り締めた。
「とうま、とうま。この人凄く良い人だよ!」
「……食べモン関係での親切を受けたら誰に対してでもそう思うんじゃねーか、お前の場合」
「とうま……あ、ああ!」
 麻咲は唐突に、何かを思い出したような仕草で叫んだ。
「へ? あの、俺が何かしたっけ?」
「いえ、違うんです。たった今、貴方の事を思い出したんですよ!」
「……とうま? へぇ、とうまもしっかり彼女と知り合いだったんだ。ふーん、散々人にとやかく言っておいて、結局は……」
「ちょ、待てインデックス何かの誤解だって俺はこの子の事なんて知らないし会った事もないってだから噛み付き体制に入るのはよせ、それマジで痛いんですよインデックスさんやめうごぁ!?」
 麻咲の目の前で修道服の少女が、ガブリ! と少年の頭に噛み付いた。よくあんな小さい口で噛み付けるなー、と呑気な感想を浮かべつつ、麻咲は確信を得る。
「上条、当麻さん……ですよね?」
 噛み付かれている少年が、本当に何で自分の事を知ってるのか解らないと言った表情で麻咲のほうへ目線をやった。
 その瞬間、インデックスと呼ばれている修道服の少女の噛み付き力が増した。

  ◆

 未だにズキズキと痛んでいる頭をさすりながら、上条当麻は連れていたインデックス、そして偶然にも自分の事を知っていると言う少女、麻咲美弥と共にバスに乗り込んでは一緒に座って話を聞いていた。
 麻咲は、上条の事を知っていると言う。
「あのですね、私自身が直接お知り合いなわけではないんですけど」
 それは自分自身も見覚えがないのだからそうなんだろう、と適当に上条は思う。
「私の先輩の―――御坂さんって人がいるんですけど、その人にこの前、お話を聞いた事があったのを思い出して」
「御坂……って、あの、御坂美琴?」
「あ、はいそうですー。その時の話題がですね、自分の一番の天敵は誰かって話だったんです」
「はあ……天敵ねぇ」
「とうま、また何かやらかしたの?」
「アホか、今の話の流れからどうやってそこに辿り着くんだっての!」
「だって、天敵って最も自分が戦いたくない相手って意味でしょ? とうま、その人に何かしたの?」
「あー……。いやまぁ、やってない……とは言えない、のか?」
 実に曖昧な返答をする上条に、インデックスは少しむすっ、と膨れっ面になった。そんな二人のやり取りを全てスルーするかのように、麻咲は話を続ける。
「その時に出てきたのが貴方の名前だったんですよ、上条さん。なんでも、先輩いわく『アイツは殺したくても殺せないから厄介なのよ』らしいですー」
「……アイツ、マジで俺の事殺すつもりなのか?」
 話を聞いていると、どんどん物騒な気分になってくる上条である。
 上条はレベル0の無能力者だ。そんな彼がレベル5の御坂美琴に、普通は敵うはずが無い。だが―――上条の右手には、不思議な力が秘められていた。
 『幻想殺しイマジンブレイカー)』。
 その右手で触れたものは、例え神様のプログラムであろうが何であろうが、それが異能の力であれば何でも破壊してしまう、というとんでもない能力だった。
 美琴の操る超電磁砲、その他の電磁波や電撃は全て超能力と言う異能の力で放たれているため、上条の右手がそれにかすかにでも触れてしまえば、それだけでその力は全て打ち消されてしまう。よって、いくら対峙したところで美琴が上条に勝つ事はない。それが、彼女に天敵と呼ばせる所以なのである。
「その時の先輩がやけに楽しそうに話すんで、印象強く残ってたんですねー。わぁ、なんだかここで出会ったのも偶然ではないような気になります」
「……はぁ、そんなもんか」
「ねぇ、みやだっけ? みやは一人で暮らしてるの?」
 麻咲の話が終わったところで、今度はインデックスが質問を行った。
「あ、はいー。そうですよ。私はなにぶん、他の生徒さん達とは『作りが違う』ので、生活方法も変わってるんです」
「ふぅん、見たところ普通なのにね。みやもこの学園都市の学生なんだよね? じゃあ、その人達みたいに何かチカラを持ってるの?」
 チカラ―――恐らく、彼女は超能力の事を言っているのだろう、と麻咲は思う。
「えっと、私は未来予知ができるんですー」
「……な、なんだってぇ!?」
 ガタン、と勢いよく席を立ったのは、質問をしていたインデックスではなく、上条だった。
 さすがに運行中に騒いだのはマズかったか、周りの目線が上条に集中する。少し恥ずかしい思いをした上条は、わざとらしく咳き込んだ後、再び席へ座りなおして、
「それで、未来予知ってのは未来を予知できるって意味だよな?」
「は、はい。……そのまんまですよ?」
「だよな。じゃあ、もし俺がこれから不幸な目に合うとする。それを予知する事はできるか?」
「えっと、出来ないことはないと思います。でも断片的にしか見れない場合が多いので、完璧にわかるかどうかは……」
「そ、それでもいい! 事前に解ればきっと不幸な出来事も防げるはずだっ! 頼む、教えてくれーっ!」
 上条は、何かと不幸な出来事に遭遇しやすい―――と言うより不幸な事にしか遭遇できない人間だった。もうこれは上条当麻という人間の一個性と判断できるレベルの。
「じゃあ、少し待って下さいね」
 麻咲は目を閉じる。
 思考するのは、隣に座っている少年の未来の姿。どことなく脳裏に浮かんでくる、見えるはずのない未来の光景。それが次第に明確になって来て、
「……あれ?」
「ど、どうした? 何か見えたとか?」
「いえ、その」麻咲は少しワケがわからなさそうに、「―――見えません。上条さんの未来を見ようとしたのに、見えたのはただどこかの暗い部屋―――多分、これは私が眠っている今日の夜です。おかしいな、いつもなら他人の未来だってある程度は見えるはずなのに……。確かに、たまに見えない事はありますけど」
「ふぅん、なるほどね」
 何故か納得したように呟いたのはインデックスだった。
「きっと、とうまはどこまで経っても不幸なんだよ。たまに見えないって事があるなら、きっとその『たまに』が今なんだね」
「うわーっ! 不幸だァああああああああああああああああああああああっ!」
 がああああ! と痛んでいる事も忘れるくらいに頭を掻き毟る上条である。案の定、インデックスに噛み付かれた部分を見事に引っかいてしまい、余計にダメージアップしていることは言うまでも無い。上条は痛い痛い! と今度は頭を抑え出した。
「……本当に、不幸なんですねぇ」
 麻咲は哀れむような表情で、隣で悶えている少年を見つめながらそう呟いた。

  ◆

 麻咲と上条、そしてインデックスの三人は、麻咲の厚意もあって彼女の部屋までやってきていた。
 上条個人としては女の子の部屋に上がり込むのには少し抵抗がある(過去に入り込んだ事はあると言えばある)のだが、ここは素直になろうと思い至った。何故かって、これ以外にこの獰猛食欲少女インデックスの機嫌を取る方法が思いつかなかったからに他ならない。
「はい、どうぞ上がってくださいー」
「お邪魔します」
 先に礼儀正しく部屋へ上がり込んだのはインデックスである。
 上条も同じようにして部屋に上がった。やけにそわそわしているのは気のせいではない。
「それにしても、割と近かったんだな。俺のアパートもこの辺だし」
「あれ、そうなんですかー。それは良かった、じゃあ帰りは心配しなくて済みますね」
「ねえ、みや。お話は後でいいからとにかくお肉食べたい」
「お前はすっかり懐いてんじゃねぇよっ!」
 あはは、と麻咲は上条とインデックスのやり取りを見て笑いつつ、そのまま鞄を部屋へ放り投げては台所へ向かっていった。同時に麻咲は時計を見る。まだ夕方になったばかり、五時半過ぎと言ったところだ。今から食事の準備をして食べて、二人を見送ってもまだ十分七時までは時間があるはずだ、と麻咲は考える。
「さて、それじゃ私は食事の準備をしますけど……メニューはこちらで決めてしまってもいいですかー?」
 その言葉にピクリ、とインデックスは腹を空かせたネコのように、
「うん! 何でもいいからお肉!」
「お前は黙ってろ!」
 すぐさま上条に突っ込まれるインデックスである。
 そんな二人を見て、麻咲は羨ましいなと心底思うのであった。
「それじゃ野菜炒めと適当にお肉を焼いてみようかな……」
 麻咲は一人暮らしをしているだけあって、料理の腕にはそれなりの自身がある。レパートリーも豊富だと自負しているくらいだった。
「楽しみだね、とうま。お肉なんて久しぶりだよね」
「……それは俺への皮肉かあてつけですかこんちくしょう!」

  ◆

 かくして料理は出来上がったわけなのだが、
「ちょ、お前! インデックス! 俺の分の肉まで取っていくなーっ!」
「あ、だ、大丈夫ですよちゃんとまだありますから」
「おいしいよ、みや! こんなおいしいご飯、こっちにきてから初めてかも!」
「あー、くそう! なんでこうコイツは俺に対する嫌味しか言わないんだそうか肉か!? 肉の恨みかそうなのかインデックスーっ!」
 やけに賑やかな、と言うか賑やか過ぎる食卓に麻咲は心底楽しんでいた。
 いつも一人で―――たまに友人を招く事もあるが―――取る食事は寂しいものである。だからこそ、こうして食卓を囲む食事は本当に麻咲にとって至福のひとときであった。
「……? なんだ、にやにやして?」
 そんな彼女の様子に気が付いたのか、上条が呟くように問う。
「あ、いえ……。ただ楽しいな、って。私は大体食事は一人で取りますから」
「みやはいつも一人なの?」
「はい。バスの時も言いましたけど、私は普通とは少し違うので、他の人と同じ生活は送れないんです。だから、学校の寮にも入れなくて、仕方なく……」
 麻咲の表情には少し寂しそうな色があった。
 それを察したのか、インデックスは答える。
「なら、また来てもいい?」
「えっ?」
「だって一人は寂しいって顔してるもん。だから、またわたし来てもいい? そしたらまた一緒にご飯食べられるよ」
「インデックスさん……」
 麻咲は、インデックスの言葉に感動すら覚えていた。
 目の前の少女は本当に、何でもなくそうやって言ってくれている。一人は寂しいと言う、彼女の気持ちを想って。
「ありがとう。嬉しいです」
「ううん。わたしもこんなおいしいご飯がまた食べられるって思ったら嬉しいしね」
「……だからやっぱりそれは俺が作る飯への不満か」
 あはは、と笑い声が部屋に響き渡る。
 何でもない、でも大切なひとときを、今自分は過ごせているんだ―――麻咲はそれを実感していた。
「そういえばさ」
 そんな中、ふと、上条が話を切り出した。
「さっき飯食う前に電話してたけど、誰に―――」
 ピンポーン、と。上条のセリフの途中で、チャイムの音が部屋に鳴り響いた。
「あ、ちょっと待っててくださいー。来たみたいです」
「え? 来た、って……」
 バタバタ! と急ぎ足で麻咲は玄関へと駆けて行った。
 電話、と言うのは先程、食事を始める少し前に麻咲が誰かに掛けていたものである。上条はそれに少し嫌な予感がして、
「お邪魔しますわよ。……あら?」
「……あ?」
「な、な……」
 そこには、二人の少女が見るはずのないものを見たような表情で立っていた。
 もちろんそれは上条達とて同じである。
「なんでアンタがこんな所にいんのよーっ!?」
 そこにいたのは紛れも無く御坂美琴白井黒子本人達であった。
「ま、まさか貴方……! お姉様だけでは飽き足らず、今度は麻咲にまで!?」
「ちょ、ちょっと待て! 誤解だ。お前らはなんか知らないけど誤解してるぞ!」
「あ、短髪だ」
 インデックスはそんな修羅場などお構い無しに呟いた後、興味が失せたようにして食事に戻っていた。
「オイ、麻咲さん? ど、どう言う事なんですかこれはーっ!?」
 上条の叫びが部屋中に木霊する。
 それはですねぇー、と、なんとも呑気な口調で麻咲は説明を始めた。
「ようするに、お友達のお友達がいるんだからそのお友達も呼ぼう、って事なんですけど……って、ちょ、先輩!? ここ私の部屋なので出来れば電撃は控えて欲しいなーとかっ!」
「……とりあえず色々と説明して貰いたいですわね、麻咲?」

  ◆

 なんとか事態の説明を終えた麻咲は、ふう、と溜め息を付いてから食卓に戻った。
 美琴と黒子はと言うと、先に帰宅した上条とインデックスの事などもう忘れたと言わんばかりに食事に集中していたのだが、
「……。おいしいわねー、これ」
「あの、それこれで四度目ですよ先輩?」
 若干一人だけまだ気になっている少女がいるようではあった。
「大体アンタも人が良いわよねー。結果的に知り合いと言うかまだ完全な他人の枠ではない相手だったとは言え、よくいきなり自分の部屋に誘って食事をご馳走する気になれるもんだわ」
「えっと、まあ、その。上条さんも困ってたみたいでしたし……」
「ま、あたしは別にいいんだけど。アイツが誰と何してようが関係ないし」
「お姉様、お箸が一本落ちてますわよ」
「あ、あれ? ほんとだ」
(……やっぱり気になるんじゃないのかなあ?)
 心でそう思うものの、いざ口には出せない麻咲である。
「そう言えば」
 と、何かを思い出したかのように唐突に口を開いたのは白井黒子である。
「麻咲、まだ眠らなくても大丈夫なんですの? ただでさえ貴女は一日の半分は睡眠を取らなくてはいけないのですから、そろそろ私達も解散したほうが―――」
 麻咲は言われ、時計を見る。
 あれから結構な時間が経っていて、今はもう六時半。そろそろ片付けをしてシャワーを浴びて寝なければまずい時刻だった。
「あ、そうですねー。もうほとんど食べ終わっちゃいましたし、今日はこの辺にしておきましょうか」
「ん? 麻咲、アンタ今日何時に起きたのよ?」
「朝の七時過ぎですので、あと約三十分くらいではないかと」
「ふーん。じゃあさ」御坂美琴は笑顔になって、「お風呂、一緒に入らない?」
 …………………………………………………………………………………、え?
「え、ええ!? そ、それってどういう……」
「お姉様、なんていきなりそんな突然大胆発言をーっ!?」
「……え? あ、いや、だってもし一人で入っててお風呂場で倒れたりしたら危ないし―――ってちょっと黒子、何で今にも準備万端だと言わんばかりに服を脱ぎ出してるわけ!?」